東海大学付属病院 麻酔科

医局活性化プロジェクト対談 第1回

東海大学医学部付属病院 麻酔科 鈴木教授にお話しをお聞きしました。(20018.05.23)


―麻酔科医の役割はどのように変化していますか?

10年前と比較すると手術を行う患者さんの年齢は5歳以上あがり、低侵襲な術式が増えたことでリスクのある患者さんも増加しています。また、モニターなどハード面の進化も著しく、数年前の技術が“標準的な技術”とは限りません。過去の経験は大きな財産になりますが、それに頼りすぎず、医療を取り巻く環境の変化に合わせて、新しいスキルを学び続ける姿勢が求められていますね。私は神奈川県の医療事故調査委員会に所属していますが、医療過誤の背景には、きちんとした教育が継続的に行われていない状況があると考えています。麻酔科医の育成は、資格を取得したら終わり、一定の年齢に達したら終わり・・・というわけではないので、定期的に最新の知見をアップデートできる体制や環境を作ることが、医局の重要な役割の一つだと思います。

―麻酔科医不足に悩む医療機関は多いと聞きます。

外科医や麻酔科医の人数、手術件数は病院経営に直結する部分です。病院の収益の大部分を担うのは手術であり、手術室をコントロールする麻酔科医の役割は年々大きくなっています。一方で、麻酔科医不足を課題とする施設は非常に多く、現時点では人材紹介会社に頼らざるを得ない状況が続いていることも事実です。

そして「麻酔科医であれば誰でもいい」というわけではなく、各施設の規模や必要な技術によって求める麻酔科医像は異なるものです。医局がそれらを把握した上で、最適な人材を派遣することができれば、結果的に医療の質の担保にもつながるはずです。医局の活性化は、地域医療の活性化につながり、最終的には地域全体の医療の質向上を実現すると考えています。

―医局を運営する上で大切にしていることは何でしょうか。

まず、臨床・研究・教育をバランスよく行うこと。これは医師の将来設計や医療の質の担保につながる軸になるものです。大学病院として高度な医療を提供することは前提として、医局は「充分な休み」「給与」「資格」など医師の働き方、キャリアプランを共に考える存在でなければいけません。医学生や若手医師には早くから3年後、5年後、10年後にどうなりたいかを考えるよう伝えています。上級医と相談しながら、まずは身近な目標を見つけて一つひとつクリアすることが大切です。誰でも苦手なことからは逃げたくなるものです。ですから、先輩も勧めるし・・・同期も頑張っているし・・・と思いながらでも、苦手なことにもチャレンジしてみる、そんな場所(=医局)が医師の成長過程には必要だと思います。


―今後、期待されている医局の役割はありますか?

今後は「組織として一個人を守る場所」であることも医局の役割として重視されると思います。医師の仕事にはリスクも伴います。これから医療訴訟が増える時代になるでしょうし、組織に守られることの重要性が増すのではないでしょうか。「新しいガイドライン改定されたよね、知ってる?」とか、最新の情報を取り入れることは医師としての成長に役立つだけでなく、自分の身を守ることにつながります。医局は今以上に、旬な話題、最新の情報、最先端の技術を取り入れる窓口となれるよう努めなければなりません。


ー鈴木教授、ありがとうございました。



東海大学医学部医学科 外科学系麻酔科

東海大学は、1974年に創設者、故・松前重義氏総長が「科学とヒューマニズムの調和」を掲げ、医学部及び医学部付属病院を設立してから37年余の年月が経過しました。これまで高度先進医療の先駆けと地域医療への貢献を目指し日々邁進してきましたが、更なる高質の医療と社会貢献を目指すために2006年1月に新病院へリニューアルいたしました。リニューアルに伴って短期入院手術センターの活性化に力を注ぎ、麻酔科外来の充実によって、日帰り麻酔、手術当日入院症例数増加による収益性の向上を目指しています。このように病院内において麻酔科医の役割は非常に重要なものとなってきており、麻酔の質の向上だけでなく院内の疼痛管理や緩和ケアの中心的な存在としての活躍や、穿刺針を用いた侵襲的手術に精通している麻酔科医が危機管理のリーダーとなり、医療安全にも大きく貢献していければと考えています。

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