医局活性化プロジェクト対談 第18回
昭和大学医学部 泌尿器科学講座
昭和大学医学部 泌尿器科学講座 深貝 教授にお話しをお聞きしました。
2022.2.25
昭和大学 泌尿器科学講座の特徴を教えてください。
当講座では、昭和大学病院(本院)、昭和大学藤が丘病院、昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院が密に連携を取り合い、4つの附属病院が一体となって臨床・研究・教育を行っています。各病院では泌尿器科領域の幅広い診療を行いながら、本院と江東豊洲病院では前立腺がん、藤が丘病院では男性機能障害、北部病院では女性泌尿器科の診療を特徴としており、専門性の高い診断・治療を提供し、各分野を牽引する役割を担っています。
泌尿器科は、他科に先駆けて低侵襲治療が導入されてきた科であり、当講座でも内視鏡、腹腔鏡、ロボット支援など低侵襲な手術法を積極的に行い、良好な成績を収めています。また、前立腺がんをはじめとする泌尿器科領域の悪性腫瘍にも診断から治療まで一貫して携わるため、手術治療のみならず、化学療法や放射線療法、ホルモン療法、分子標的治療なども習熟しています。中でも、前立腺がんに対する密封小線源療法は、国内トップクラスの症例数を経験しており、病態に応じて外部照射の放射線療法とホルモン療法を組み合わせた集学的治療を行っています。
前立腺がんは急増しているそうですね。
日本においては前立腺がんの患者数は年々増加していて、全てのがんの中で男性罹患者数1位(2018年)となっています。前立腺がんは、血液検査によるPSA(前立腺特異抗原)測定を行うことで早期発見が可能ですが、残念ながら本国でのPSA検診受検率は低く、受検率の高い欧米諸国よりも進行した状態で前立腺がんが見つかるケースが多いのが現状です。
当科では、前立腺がんの早期発見・適切な治療の重要性を啓発するために “ブルークローバー・キャンペーン*” の一環として、毎年、市民公開講座の開催や無料PSA検診の実施などに取り組んできました。乳がんのピンクリボン運動のように、前立腺がんの理解が広く普及することを目指し、継続した活動が大切になると考えています。
教育、研究の特徴を教えてください。
教育、研究においても、附属病院であることの強みを活かして、総力戦で取り組んでいます。 教育については、4つの附属病院をローテートすることで幅広い泌尿器疾患をバランスよく経験することが可能です。また、関連病院への国内留学も盛んに行われており、スキルアップの機会を多数設けていることも特徴です。 研究については、様々な研究が進行していますが、最近の大きな取り組みとしては、附属病院全体のデータ収集・解析を開始し、論文化の準備を進めています。
今後、取り組んでいきたいことを教えてください。
近年、入局者数が増え、活気のある講座になっているので、私は医局員がステップアップできるような環境やチャンスをたくさん設けることが役割だと思っています。一人ひとりが臨床技術を向上させ、研究実績を残せるように、そしてそれを患者さんに還元できる医師になってほしいと思います。そのためにも、特に、海外留学の機会を積極的に設けたいと考えています。泌尿器科の治療法や診断法は目覚ましく発展していますから、最新の医療を学び、臨床に応用するには、世界中のドクターたちとやり取りする必要がでてきます。私自身もハワイ大学へ留学し、その時の経験が今でも臨床・研究における基盤となっているので、若手の先生方には是非にと思っていますね。
深貝教授、ありがとうございました。