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医局活性化プロジェクト対談 第24回

東海大学 医学部専門診療学系 緩和医療学

2025.7.9

緩和ケア内科(緩和医療学)ではどのような診療を行っていますか?

緩和医療とは、生命を脅かすような疾患に直面した時に現れる身体面や精神面の様々なつらさを軽減し、自分らしい生活を送れるように支える医療です。「緩和医療」や「緩和ケア」に対して、がんの終末期の医療というイメージが強いかもしれませんが、緩和医療は病気の診断を受けた時から、必要に応じて治療と並行して行うもので、がんだけでなく、様々な非がん疾患の患者さんも対象となります。また、患者さんのご家族も緩和ケアの対象となることが、他科とは大きく異なる点です。当科では、主治医からの依頼を受けて、主科との並診をさせていただいています。患者さん・ご家族の状況によって必要な緩和ケアは異なりますので、医師(身体科・精神科)・看護師・薬剤師・栄養士・作業療法士・ソーシャルワーカー・臨床心理士・鍼灸師などからなる緩和ケアチームのメンバーと協働しながら、様々な苦痛を和らげ、QOLが高められるよう取り組んでいます。

東海大学 医学部専門診療学系 緩和医療学
急性期病院における緩和ケア内科(緩和医療学)の役割として大切に考えていることはありますか?

症状の軽減だけでなく、今後の治療や退院後の過ごし方をどうするか、などの意思決定支援も緩和医療の重要な役割の一つだと考えています。患者さん・ご家族の考えに寄り添いながら、主治医や地域の病院、ホスピス、在宅療養支援診療所、クリニック、福祉関連機関などと連携することで、患者さん・ご家族が望む医療・ケアが継続して提供できるよう地域連携を大切にしています。
 緩和医療の分野自体が、外科系や内科系の診療科に比べると新しい分野ということもあって、必要な人に適切な緩和医療が届くように、院内、そして地域へと緩和医療を広く浸透させていくことが当講座の役割でもあると考えています。そのためにも、院内での情報提供、医学生・研修医への教育、緩和ケア研修会や地域の医療従事者に向けた勉強会の開催などを行い、地域全体で緩和ケアを推進していきたいと思っています。

東海大学 医学部専門診療学系 緩和医療学
どのような医師が緩和医療に向いていると思いますか?

 患者さん・ご家族の生活や社会的背景などもふまえて、全人的な視点でアプローチしたい方が向いていると思います。緩和医療が医療者の押し付けにならないよう、その人の生き方や価値観などのバックグラウンドを知ることが大切になるので、患者さんとの“雑談”もその人を理解するための診療の一貫でもあります。
また、緩和医療はチーム医療で成り立っていることから、異なった視点をもつ人からの意見も含め、常に多角的な視点をもつことも緩和ケア医として必要な素養かもしれません。必要なケアを提供するための院内・院外の調整役としての役割も大切になります。

緩和医療を学びたい医師に向けてメッセージをお願いします。

日本人の2人に1人はがんに罹患し、3人に1人はがんで亡くなる時代であることや、高齢化社会の到来により慢性疾患をもちながら生きる人が増大していることから、プライマリ・ケアの一貫として、緩和医療を学ぶことは医師として非常に意義があると思います。
当科には、外科、内科、麻酔科、精神科など様々なバックグラウンドをもつ医師が在籍しておりますので、緩和ケア医を目指したい方で、どのようなキャリアを歩めばいいのか迷う場合は、気軽にご相談いただきたいと
思います。将来的には臨床研修後、当科に入局していただき、連携している緩和ケア病棟のある病院やホスピス、在宅医療での研修などができるよう体制を整えていきたいと考えています。

東海大学 医学部専門診療学系 緩和医療学

徳原教授、ありがとうございました。

東海大学 医学部専門診療学系 緩和医療学

緩和ケアは、がんの治療が終わった後のケアではなく、がんの診断時の早期に始まり治療と並行して行われます。さらに世界保健機構(WHO)では、緩和ケアはがん以外にHIV、
根治不能な神経疾患、慢性心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、認知症、肝不全なども対象疾患としており今後の課題です。がんの苦痛は、身体的・精神的・社会的に加えスピリチュアルな苦痛から成る全人的苦痛であり、その緩和を図ることは患者さんのQOLの向上にかかすことができません。われわれは、医師・看護師・薬剤師・栄養士・作業療法士・ソーシャルワーカーからなる多職種のスタッフで緩和ケアにかかわり、身体症状、精神症状のある患者さん及びその家族の症状緩和・QOLの向上を図っています。また、緩和ケアは病院、診療所、開業医・在宅医などが連携しネットワークを形成することにより切れ目のない医療を提供することが非常に重要であると考えますので各医療関係者の皆様とのネットワークづくりにも取り組んでいきたいと考えています。

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