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医局活性化プロジェクト対談 第21回

東海大学医学部専門診療学系 リハビリテーション科学

東海大学医学部専門診療学系 リハビリテーション科学  水野 教授にお話しをお聞きしました。

2023.3.15

リハビリテーション科の魅力について教えてください。

 リハビリテーション科は「時間」の要素が重要になる診療科だと考えています。患者さんの過去、現在を考慮した上で、1週間先、2週間先、1カ月先、半年先、1年先、10年先を予測し、今必要なリハビリテーション治療は何かを考える点が他科と大きく異なり、それがリハビリテーション科ならではの難しさであり、やりがいであると思います。また、リハビリテーション科はほぼ全ての診療科に関わり、幅広い年齢層、様々な疾患・障害を対象にしているため、幅広い知識を持ち、多種多様なニーズに応えていく必要があります。治療薬の進化や再生医療、遺伝子治療などの医学の進歩とリハビリテーション治療はとても密接で、リハビリテーション医学・医療も常に進化が必要です。医療の高度化や高齢化社会が進むにつれて、より集学的医療が求められており、リハビリテーション科医への期待も高まっていると感じています。

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再生医療、遺伝子治療などの最先端の医療とリハビリテーション医療の関連について教えていただけますか。

 再生医療や遺伝子治療は大きく発展している分野ですが、研究が進むにつれ、それ単独の治療だけでは機能改善までは至らず、リハビリテーション治療を併用することで、薬物療法の治療効果をより向上させることが明らかになってきました。再生医療や遺伝子治療によって、正常な組織や遺伝子に置き換えができても、それだけでは身体や脳は正しい機能の仕方が分からず、リハビリテーションによって適切な刺激を与えることで新たな神経回路が形成され、脳が学習することで正しく機能できるようになるわけです。リハビリテーション医学においては、長年、神経の可塑性に注目した治療方法が盛んに研究されており、それらが再生医療や遺伝子治療にも応用されようとしています。

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急性期医療を担う大学病院において、リハビリテーション科が重視していることを教えてください。

 必要なリハビリテーション治療を行いながら、患者さんの未来を考え、適切にトリアージすることを重視しています。退院後、すぐにご自宅で過ごすのか、リハビリ専門病院に転院して集中的なリハビリを行うのか、当院でリハビリを継続するのか・・・などの選択をすることになりますが、最初の選択を間違えてしまうと、患者さんのその先の人生に大きく影響を与えかねません。リハビリテーション治療は患者さんの生命予後、機能予後を左右するものであり、急性期病院だからこそ、リハビリテーション科医が介入する意義が大きいと考えています。

全国的にリハビリテーション科医は不足しているそうですね。

 リハビリテーション科医は少しずつ増加しているものの、急激な需要の増大により、全国的に不足している状況が続いています。高齢化社会におけるリハビリテーション治療のニーズの高まりや医療技術の進化に伴い、患者さんの“生活”を診れる医師の必要性が増しており、リハビリテーション科医が活躍するフィールドはさらに広がっていくことが予想されます。リハビリテーション科は初期研修において選択科目となっていますが、全ての診療科で「患者さんの未来を考える」という視点は大切になってきますので、ぜひ、選択していただき、リハビリテーション科の魅力を知ってほしいと思います。

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水野教授、ありがとうございました。

東海大学医学部専門診療学系 リハビリテーション科学

​ 「病気やケガなどの後、すぐに集中的なリハビリを開始する」をモットーに、リハビリ科専門医が診察・リハビリ内容を検討し、理学、作業、言語聴覚療法や装具療法などを行っています。主に入院患者に対して、病気としては脳卒中や頭部外傷、脊髄損傷、整形外科疾患の術後、関節リウマチ、神経や筋肉の病気、手足の切断、子供の病気、呼吸器疾患、がんのリハビリなどを行っています。さらには嚥下障害(飲み込みにくさ)や高次脳機能障害に対してのリハビリも行っております。 最近では、脳卒中の運動障害を改善するため最先端の治療(ボツリヌス療法、電気刺激療法、HANDS療法、反復磁気刺激療法など)や歩行障害、半側空間無視などに対する特別なリハビリ治療にも取り組んでいます。

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