医局活性化プロジェクト対談 第23回
東海大学医学部 小児科
東海大学医学部 小児科 内山教授、山田教授にお話しをお聞きしました。〈対談2回目〉
1回目の対談はこちらからご覧いただけます。
2023.6.22
山田先生が着任されてから2年経ち、どのような変化がありましたか。
(内山教授)若手の先生方の成長を感じる2年間でした。専門医の人数も増えましたし、サブスペシャリティ取得を目指すために、国内留学している先生もいます。スタッフ一人ひとりの成長は当科の発展、ひいては地域の小児医療を守ることにつながります。今後も個々の興味・関心に合わせてスキルアップできる機会や環境を充実させていきたいと考えています。
また、当科の血液チームが、小児がん患者さんや造血細胞移植が必要な患者さんを診療しており、血液疾患の患者さんが年々増加しています。先天代謝異常の患者さんの移植は対応している施設が限られているため、全国から当科にご紹介をいただいている状況です。こうした血液治療についても、今後もしっかり対応していきたいと考えています。
(山田教授)この2年間は、私自身の専門領域を深めながらも、心臓外科の研究に携わり始めたことや、学生教育に“レゴ®シリアスプレイ®”を取り入れるなど、新しいプロジェクトにも取り組み始めました。これらのプロジェクトは様々な先生方との交流がきっかけとなっています。日頃から、アンメットニーズに対応したい、という思いがありますが、人との出会いによって好奇心や探求心が生まれ、新しいニーズや潜在的なニーズの気づきにつながっているので、今後も大学という環境を活かして、様々な出会いを大切にしていきたいと思っています。
コロナ前後の変化はありましたか。
(内山教授)周産期新生児に対する医療は、地域医療とのつながりが重要ですが、コロナ禍では、直接顔を会わせるのが難しい状況でした。そこで、ウェブベースのやりとりを広げようと「湘南西湘新生児研究会」というウェブコミュニティを立ち上げました。やりとりをウェブベースにしたことで、普段なかなかお話を伺えないような一流の先生に講演いただくこともでき、新生児医療のレベルアップのためにも、このウェブコミュニティは継続予定です。
(山田教授)感染対策については、私は小児専門病院で感染対策室長だったことがありますが、小児専門病院と幅広い年齢、健康状態の方が来院される大学病院とでは、必要なルールや対策が異なると感じました。小児科医は普段から感染症を診る機会が多く、他科と比べるとコロナ前から感染対策は浸透していたと思いますが、コロナ渦で感染対策の意識がより高まったことは間違いありません。この数年間、あらゆるケースを経験したので、今後の診療や感染予防にもつながると考えています。
若手の先生に向けてメッセージをお願いします。
(内山教授)若手の先生に一番お伝えしたい3つのスローガンが、Accountability(説明責任)、Compassion(思いやり)、Trust(信頼)です。この3つを念頭に置き、患者さんとご家族に対して、スタッフで助け合いながら仕事をする、という意識をもっていただきたいと考えています。小児科の専門医というのは、あくまでステップの1つですので、その先ご自身がどう進みたいのか、私たちがサポートできればと考えています。例えば、山田教授のようなアレルギー専門や、私のような新生児の専門など、更にその先のサブスペシャリティや研究に進む先生がいてもいいと思います。
(山田教授)臨床研修制度がしっかりと確立されている分、専門医を取得するまではある程度決まった道を進むイメージがあると思います。もちろん専門医を取得することは大切ですが、興味をもつ領域や、やってみたい研究が出てきた時に、臆することなくチャレンジしてほしいと思っています。医師は様々な場面でリーダーとしての役割を担うため、幅広い経験が糧になりますし、ぜひ多様性のある医師を目指してほしいです。新しいことに取り組む時には不安があると思いますし、どうすればいいのか分からないことも多いと思いますが、やってみたいことを率直にお話しいただければ、実現できる方法や環境を考え、できる限り支援したいと考えています。
内山教授、山田教授、ありがとうございました。